こんにちはフェアリーです。
「公式や定理が覚えられない」から数学が苦手という人も多いのではないでしょうか?
公式を暗記するということは必ずしも必要なことではないです。
こういった疑問に答えます。
この記事を書いているぼくは中学生のときに数学の先生になることを目指し、高校3年生の夏から本格的に受験勉強をスタート、国立大学の教育学部に現役合格しました。
大学で教育論を学んだ観点や経験から疑問について解説していきます。
数学公式は暗記しないでOK!教育学部卒の自分が教育論の観点から解説
結論から言うと、公式や定理は丸暗記した方がいい場合と、暗記しなくてもいい場合があります。
ぼくは「公式や定理を丸暗記しなくていい」と思っています。
丸暗記しないことのメリット・デメリットはありますが、ぼくはメリットの方が大きいと思っています。
受験やテストを前提に丸暗記することは間違いではないですが、しっかり公式や定理の背景を知ることは社会人になってからも役に立ちます。
では、どういうときに暗記した方がいいのか?暗記しなくていいのかを書いていきます。
まず、公式や定理を暗記しないことで鍛えられること、それは
この2つは社会人になってからも必要な能力です。
これが数学を学ぶことで身につくので、ぜひ数学を通して能力を身につけていただきたいです。
思考力や推理力が身につく
まず、数学を勉強する理由は3つあります。
それぞれの詳細はこちらの記事を読んでみてください。
思考力や推理力を身につけるのは、ここでいう「陶冶的目的」です。
陶冶(とうや)的目的の陶冶はあまり聞き馴染みのない言葉だと思いますが、陶冶=鍛えるという意味で考えてもらうといいかもしれないです。
明治33年に公布された「小学校令施行規則」では、算数の教授要旨を次のように述べています。
後半部分が陶冶性に関する記述になるのですが、算数や数学の学習を通して、思考力、推理力を鍛えようというものです。
これは社会人になっても役に立つスキルだと思います。
根拠を持って、論理的に説明していく力がないと相手を説得できないですよね。
教育用語に用具的理解と関係的理解という言葉があります。
用具的理解は言葉の通り、公式や定理を問題を解くための用具・道具と見なすことです。
この問題を解くにはこの公式を使えばいいんだと、いわゆる解法を覚えてしまうことですね。
一方、関係的理解も言葉の通り、公式や定理の関係まで理解することです。
“できる”と“わかる”という言葉がありますよね。
この違いってなんでしょうか?
“わかる”は公式などの背景までしっかりと理解していること
“できる”→“わかる”→“できる”
用具的理解→関係的理解→用具的理解
“わかった”上で“できる”ようになることが、数学力を高める秘訣です。
1つ目の“できる”は上に書いた通りです。
3つ目の“できる”は本質を理解して、何を使えばこの問題を解くことが“できる”のかということです。
もちろん入試やテストでは、問題が解けないといけないですから、公式や定理を暗記するということはいけないことではありません。
ただ、公式や定理を忘れたらどうしますか?
なんとか思い出すしかないですよね?
思い出せればいいですが、思い出すのにどのくらいの時間がかかるでしょうか?
問題のパターンが変わったら対応できますか?
でも公式や定理の導き方を知っていれば、公式や定理を全て暗記する必要はないのです。
これが関係的理解です。
こうやって、公式や定理が成り立つ背景を知ることが“わかる”ということです。
そしてわかった上で、「この問題にはこの定理を使えばいいんだ」となり、本当の意味で“できる”ようになります。
応用力が身につく
例えば、三角関数の加法定理で考えてみます。
ここから
など、派生していきます。
「これらの定理や公式を全て暗記した方がいいのか?」と聞かれたら、「暗記した方がいいけど、忘れてもいいように導き方を覚えておくといい」と答えます。
例えば、共通テストの数学はかなり時間との勝負になります。
この場合は覚えていた方が時間はロスせず済みます。
しかし、緊張してど忘れ、みたいなことも起きるかもしれません。
そしたら、時間はかかりますが、公式や定理を自分で求めてみることも必要になってきます。
上記の三角関数の加法定理を元に考えてみます。
加法定理は最低限
の2つは覚えましょう。
余裕があれば、この2つも求め方を知っておくといいかもしれないです。(東大の入試で証明が出題されたこともあります)
この2つを元に、(α-β)とかっこ中の符号を変えたら
$$ \sin(\alpha\color{red}-\beta)=\sin\alpha\cos\beta\color{red}-\cos\alpha\sin\beta $$ $$ \cos(\alpha\color{red}-\beta)=\cos\alpha\cos\beta\color{red}+\sin\alpha\sin\beta $$
と=の右側の符号が変わるんだと覚えます。
もっと、できる人なら
βを-β
に変えると
$$ \sin\alpha\cos(-\beta)+\cos\alpha\sin(-\beta)=\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta $$ $$ \unicode{x2235} \cos(-\beta)=\cos\beta,\sin(-\beta)=-\sin\beta $$
と考えられると論理的ですね。
そして、この4つを元にtanの加法定理は
$$ \tan=\frac{sin}{cos} $$
となることを用いれば、
$$ \tan(\alpha\pm\beta)=\frac{\sin(\alpha\pm\beta)}{\cos(\alpha\pm\beta)} $$
から求められます。
求め方がわかっていれば、忘れても公式や定理を求めることができます。
他にも、2倍角の公式なども求め方を知っておくと、いざというときに役立ちます。
このようにして、応用力を身につけていくためにも、公式の丸暗記は必要ないことだと思います。
暗記した方がいい場合
暗記した方がいいのは、
$$ \sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta $$ $$ \cos(\alpha+\beta)=\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta $$
のように、公式や定理を求めるまでの過程が長いものです。
(実際、求めようとするとめんどうくさいです)
公式や定理の覚え方ってある?
口に出してみたり、書いてみたりして、覚えるというのも1つの手です。
しかし、この覚え方だと結びつきがないので覚えにくいです。
なんとか覚えようとせず、実際に問題を解くなどして、自然と覚えられるのがいいです。
結びつきという観点からなら、語呂合わせもいい手段なのかもしれないですが、やはり問題を解いて覚えることがいいと思います。
最後に
「公式や定理が覚えられない」という方に向けて、暗記は必ずしもする必要はないことを解説していきました。
もちろん全てを完璧に覚えられるのであれば、それに越したことはないのかもしれません。
ですが、完璧に覚えられたとしても忘れるのが人間です。
求め方もあわせて知っておくことで、数学力は格段にアップします。
この記事を読んで、数学の勉強の仕方が身についたのであればうれしいです。
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